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「時を繋ぐ糸」

 いつのものようにポストを覗くと、小さな茶色い封筒が入っていた。真新しいとはいえない、少しだけくたびれた封筒。差出人には私の名前が書かれている。
 開けてみると、10代のころに書いた、未来の自分への手紙だった。まだ幼さの残る拙い文章で、様々な質問が書かれている。手紙を読んでいると、つい忘れてしまっていたあの頃のことが鮮明に浮かび上がってくる。
 もう数十年も前のものだけれど、この手紙を通して過去の私と今の私が繋がっていると強く感じ、不思議な気分になった。
 
 手紙は、離れた距離の人と繋がるためのものだと思っていたけれど、時と時を繋ぐ糸のような働きもするのだと感じた。
 また未来の自分に手紙を書いてみるのも面白いかもしれない。今度はどんな質問をしようかな。

11/26/2025, 1:43:59 PM