彼は交通事故で死んだ。
ネットニュースによれば、即死だったらしい。
あんなに苦労して、殺す計画を立てたのがバカみたいだ。
そのために仕事も辞めて、恋人と別れて、全てを捨てて挑んだのに。
ちょうど共犯者からコールがあった。
はしゃぐ声が、ニュースを見たかと問う。
熱っぽい喋りが一方的に響いていたけど、ほとんど頭には入っていなかった。
聞いていられなくなって、電話を切った。
あなたにはこの先があるかもしれないけれど、私にはもう何もないんだ。
大事なものは全て捨てて、空いたスペースに憎しみをつぎ込んだ。
その行き先が消えた今、私は宛のない怒りだけが詰まった肉袋だ。
意識が覚束ないままでふらふらと街を歩く。
どこにも行く宛てがない。
どこにいるのかもよく分からなくなってきた。
ブレーキの音が他人事のように聞こえた。
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3/23/2023, 9:17:48 AM