「こっちに恋」「愛に来て」
今日の月はどんな形をしているのだろう。コーヒーの香りが、夜風の冷たさがこの気持ちを沈めてくれると思っていた。薄暗い街並みは殺伐としていてどこか寂しげだ。いつの間にかベランダの柵にもたれて夜を過ごすことが増えた。きっと君がいないからなのだろう。
ピンポーン。疲れた身体が反射的に動く。絶対に違うと思っていても期待してしまう。画面に映っていたのは帽子を被った配達員だった。ガッカリした気持ちに見てみぬふりをする。大丈夫、分かってたからと自分で自分を気持ちを落ち着かせる。あなたと会えなくなってからずっとこんな感じだ。
ピンポーン。
「はーい」
ドアを開け配達員から荷物を受け取った。その背後には満月が輝いていた。
4/25/2025, 2:29:56 PM