「今日は、月が綺麗にみえんすね」
「…あぁ、そうだな。今日は本当に良い天気だ」
彼女の方を向かずに答える。
「どうしんした?今夜はやけに静かでありんすね」
心配そうに彼女は言う。
「いや、なんでもないさ」
なるべく明るく言ったつもりだったが、彼女は気付いた。
「何を隠してるんでありんすか」
ジッと綺麗な焦げ茶の目で見られる。
俺はその目に見られると、隠し事が出来なくなってしまう。だが、今回は。今回はだけは隠させてもらう。
「君が、身請けされると聞いて、ね。祝ってやろうと思ったんだ」
「そうでありんしたか。ありがとうござりんす」
「相手は誰だい?君みたいな華を身請け出来る男なんだ。さぞ位の高いお方だろう?」
「そうでありんすねぇ、優しい人でありんすよ。本当に。あちきのような者にも優しゅう接されて…」
そういう彼女の目はどこか寂しそうだった。
「どうした?急にそんな顔して」
「…実はあちき、ずっとお慕いしている人がいるんでありんす」
急な話に驚く。
「へぇ、知らなかったよ。なんだ、もしかして其奴と一緒になれないからあんな顔したのかい?」
「えぇ、そうでありんす」
「…そいつはどんな奴だ。会えなくなってしまう前に俺が会わせてやろう。」
「いいえ、大丈夫でありんす。もう、会えんしたから」
次の日、彼女は偉そうな、実際に偉い男と共に遊郭を後にした。
自分用←(ここ重要)解説擬き(元の話の予定など)
廓言葉つかってた人は、身請けされる前の日に会ってた男が好きで、その男も女のことが好き。両肩想い状態?知らん。
予定では足抜けさせるはずだったが、オチが思いつきんせん!状態に…オーノー。このオチは気合でゴリ押せー!なもの。
5/31/2023, 3:30:27 PM