星屑

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君と過ごしたあの日々が僕の頭から消えてくれない。

可愛い、綺麗、好きだよ、愛してる。
毎回決まった常套句を繰り返して嘘を囁いて悦ばせて。
ああ、なんてくだらねー人生なんだろう。
他の男が僕を羨望の眼差しで見ようと特別嬉しいとも感じなかった。
僕が求めているのはそんなものじゃない。
愛が愛を忘れさせてくれる。そう思っていたのに。
頭の中でこのままではいけないと木霊するばかりで。
君が薄れていく気配すらない。
思ってもいない甘い言葉で女を誘い傷を埋めるそれで上手くいっていたはずなのに。
ふとした時にどうしても君の振り向きざまの笑顔が浮かんで、忘れさせてくれない。
もう出て来んなよ!
勝手に去ってしまったくせに!
どこからか君の寂しそうな声が聞こえる。
ごめんね、私の事なんか忘れてね
それが君が死ぬ前に残した最期の言葉だと思いだす。
忘れろなんて簡単に言うなよ
いくら他の子で満たそうとしても満たされない。
そのせいで君に心配をかけているようじゃ世話ないな。
本当はわかっている他の人を利用して君を忘れようとしてるってことも、
もう君以外愛せないということも。
はは、ならもういっそ諦めて君一筋になってみるか。
渡し忘れた指輪を君の墓に添える。
散々使い回した常套句もいざ君に言うと思うと照れてなかなか出てこない。
やっと呟いた小さな好きだよに、
君がバカと呟いた気がした。

4/3/2025, 11:54:37 AM