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俺は人の心が読める。俺の先祖に覚りという妖怪がいて、俺はその影響を強く受けているからだ。所謂先祖返りというやつ。勿論、この力は親族以外は知らない。
話は変わるが、俺にはもう十年の付き合いになる幼馴染がいる。
しかし、ソイツは周りから遠巻きに見られるようなヤツだった。何故かって?ヤツが何処か出かける度に誰かが死ぬからだ。
そんな小さくなった名探偵じゃないんだからと思うだろう?ところがどっこい、本当なんだ。

だって、現在進行形で人が死んでるし。

周りから上がる悲鳴や怒声。その狂騒の中、幼馴染は酷く泣きそうな顔で此方を見た。
「ど、どうしよう…」
ヤツの瞳からぼろぼろと絶え間なく涙が零れ落ちる。
しかし、その涙は人が死んで怖いから流れているものではない。
『(どうしよう…っ!証拠残してきちゃったかも…)』
「(ま〜〜〜たコイツは!!!)」
ビンゴ。今回もまたコイツが殺したらしい。
そう、コイツの周りで殺人が起こるのは当たり前だ。だって当人が殺してるから。
けれど、この幼馴染は変に抜けている。何せ、毎回証拠を残すのだ。
『(使ったナイフに指紋残してきちゃった…!)』
あぁ。
「(何だ、それだけか。前回よりは楽に済みそうだ)」
まぁ、それはそれとして手袋はしろ。常識だろうが。いや、殺人の常識って知らんけど。
この幼馴染は変に抜けている。俺が証拠の隠滅をしなかったらとっくに塀の中だろう。
俺には誰にも言えない秘密がある。人の心が読めること、そして、幼馴染である殺人鬼の後始末をしていることである。

6/5/2023, 10:43:20 AM