蜜柑

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「子供の頃の夢って覚えてる?」
「あんまり覚えてないかなぁ。あ、でも女優になりたいとは思ってた!」
「あなたらしいなぁ」
「そういう君は?」
「色々と夢見てたから、その色々は覚えてないけど。でもたった一つだけ、覚えてる」
「私と同じ感じか」
「そ」
「……その夢は、叶えられた?」
「叶えられてないかもなぁ」
「……叶えたかった?」
「ううん。別にいいかなぁって感じ。だって子供の頃と今で環境違うし。あのまま同じ夢見続けていたところで、幸せな未来が待っていたとも思えないから」
「……そんな修羅の夢持ってたの?」
「いや、違うけど。……まあ、そうなってもおかしくなかったんじゃないかなぁって、今は思うだけ」
「……そっかぁ」
「……あなたの今の夢は、もう叶った?」
「今の夢? ……ふふ、もう叶ってる」
「早いねぇ」
「今は身近にある小さな夢を思い描いているからね」
「じゃあその夢はもう終わり?」
「ううん。その夢を持ち続けて、大事に仕舞って、ずっと願い続けるよ。この夢に終わりなんてないからね」
「そっか。……終わりがない夢は、きっと少し大変だけど。でも持ち続けられるのは良い事だね」
「そう、なのかな。……そうかも」
「ふふ。……さて、メロンソーダも無くなってきたし、帰ろっか」
「君は本当にそれが好きだねぇ」
「うん、大好き。そういうあなたはコーヒーが好きだねぇ」
「いやぁ、手っ取り早くカフェイン取り入れられるのこれくらいしか浮かばなくて……」
「苦いのが好きとかじゃないんだ!?」
「うん、カフェイン重視」
「カフェイン苦手とかなら聞いたことあるんだけどな……」
「違って良いでしょう?」
「違うのは良い事だけど、程々にね?」
「もちろん。溺れる真似は致しませんよ」
「ならよし。……それじゃあ、帰ろうか」
「うん。……それじゃ、またね」
「……うん。またね」

6/23/2025, 11:48:34 PM