朝露が湧くころ、僕たちはまだ目を覚まさずにいる。
静寂の世界で地表は凍り、霜は静かに生まれる。
その表面は光を受け、角度に応じてささやかに揺れる。
銀から青、青から金、金から白金。
――色相は風のように移ろう。
低い朝日が触れると、霜の結晶はプリズムのように微細な虹を走らせ、
密度の高い霜は、地面を光のヴェールで覆い、凛とした朝の空気を映す。
けれど、霜は生まれた瞬間から溶けはじめる。
光に溶けて還る。――柔らかな終焉。
消えゆく霜は、結晶の縁で光を拾い、内部は透け、半透明になる。
壊れながらも一瞬、世界を透かして照らし、静かに消えていく。
霜は消えても蒸気となり、夜ごとに再び生まれる。
しかし、同じ結晶の形として戻ることは二度とない。
美しいものは、いつも儚い。
それでも、たとえ消えても、その輝きは決して奪えない。
あの輝きこそ、僕たちの内側に息づいていると信じたいんだ。
題 霜降る朝
11/28/2025, 11:29:28 AM