【とりとめもない話】
「とりとめもない話なんていうのはさ、相手によっては鬱陶しいだけでしょ?」
「まあ、それを言ったらほとんどの雑談はとりとめもないけどな」
「私はさー、結構頭の中がうるさいタイプなわけよ」
「あー。確かに急に話題が飛ぶ時あるよな」
「アウトプットしたいけど、それの全部に他人を付き合わせるわけにはいかないじゃない」
「まあ、俺だっていつも話を聞けるとは限らないからなあ」
「SNSに垂れ流すのもどうかと思うし」
「個人情報もあるしなー」
「そんな事情で、私にはなんでも書けるノートが必要なの。話す代わりに書いていくことで頭の中を整理してるの」
「……それが、また高級ノートと万年筆を増やした言い訳か」
今、私たちの前のテーブルには、定価が一冊1,200円のノートと3,300円の万年筆がある。
「万年筆の中では安い方なんだよ!?」
「一体これで何本目だって話だよ!」
「…………ごめんなさい」
私は素直に謝り、項垂れた。
後日。
「こっちがバレなくて良かったよねぇ」
私はうふふと笑いながら、本命の木軸漆塗りの万年筆にインクを入れた。
12/17/2024, 12:54:17 PM