【砂時計の音】
私は時の番人。世界を見守る者。
時空に歪みが起こらぬようこの時計を監視している。
ここは「監視者の牢獄」。
時計塔の中のようなこの場所にあるのは、空間を囲むような大きな鎖と時を示す砂時計だけ。
聞こえるのはさらさらとした砂時計の音だけ。
でも私は世界そのものを見ていた。
だから生きとし生ける者の存在にいちいち特別な感情など抱くことはなかった。なかったはずなのに
君に恋をしてしまった。禁忌の感情を抱いてしまった。
声も分からない。けどその姿に惹かれてしまった。
会えることなど決してない。私たちは始まらない。
だから世界と共に君を見守ろう。
私がこの世界を。
君が時の中に迷わないように。
10/18/2025, 11:33:17 AM