récit

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雨上がりの空は透明で、僕は重力を忘れたように上を向いて歩いていた。青空がこぼれ落ちてくる。そんな気分だった。
でも、人生とは思いがけないことが満ちているんだ。
上ばかり見て歩いていたら、ボシャッと水たまりに足を突っ込んでしまった。
スニーカーから染み込む冷たい感触。ああ、なんとも言えない気持ち悪さだ。

まあ、こんな日もある。
小さな惨事は、心の中とスニーカーの中で反響している。
どこかで、また誰かが水たまりに沈んでいるかもしれない。

「雨上がり」

6/2/2025, 3:34:46 AM