平穏な日常
それは彼女が望んだ未来だった。
生きていくために争い、奪い合い、憎しみが蔓延る世界でも彼女は諦めなかった。
いつかまたこんな争いなんてない、平穏な日々がやってくると信じて、そうなるために力を尽くした。人を信じ、人を愛し、家族と呼べる仲間を増やし、そうして作り上げたコミュニティは彼女のようにあたたかくて、いい人ばかりだった。
飢えることもなければ、雨風にさらされることもない。誰かから命を狙われることもない、そこは安全で、ようやく私たちは安心することができた。
彼女が作り上げた町では今日も笑顔が溢れていた。特別なものなんて、何もない。ただただとりとめもない平穏な日常がゆっくりと流れていくだけだった。
それを見た彼女は優しく微笑んだ。
「前のように戻れなくてもいい。別に新しくなったっていい。ただみんなと笑い合えたら、それでいい」
3/11/2023, 1:51:14 PM