熱い鼓動
脇腹が痛い。
やられすぎてもうどこが痛いのかってのも分からなくなってるけれど、群を抜いて痛いのはここだな。
たぶん形的に一番蹴りやすいんだなきっと。
昔からずっとそうだ。
おれは嫌な知識だけがついていく。
そのせいで完全に慣れてしまって、どんなに身体が痛んでも真っ先に浮かぶのはどうやって傷を隠すかということになってしまった。
習慣というのはつくづくすごいものだなあと思う。
そんな日々の中で、生というのを実感できなくなることなんかもある。
だが伊達に何年もこんな道の上歩いてきてない。
そんな時はひゅーひゅー鳴っている呼吸を沈めて胸に手を当てる。
そうするとどくどく心臓の鼓動が伝わってきて、俺は生きてるんだなって、おれはまだ生きていけるんだって、生を実感できる。希望が生まれる。
それと同時に、ここが止まるまではまだ生きているんだなって小さな失望も出てくるけれど。
それでもおれは、救いのない日々の中で、
それでも希望を見つけないといけないから。
生きていくために。動くために。
熱い鼓動
7/30/2025, 6:30:31 PM