ザザーン…
潮風が力強く耳元を撫で、日差しが痛いほど突き刺さる昼下がり。
真っ白なワンピースに身を包んだ僕の天使は、先程から砂浜を眺めたり、海水に足をそっとつけてみたり、押し寄せる波から逃げたりと小さな子供のようにはしゃいでいる。
僕は一緒にはしゃげるような無邪気さは持ち合わせていなかったから、彼女の背中を追いかけながら彼女の姿を目で追っているだけで楽しかった。
刹那、彼女がこちらをクルッと振り返る。
小走りに駆け寄ってきた彼女から、そっと手のひらに何かを押し付けられた。
それは彼女のように真っ白で、可愛らしい見た目をした小さな貝殻だった。
9/6/2024, 3:00:05 AM