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〈新年〉
​チチっ、チチっ……。
外から聞こえる鳥の声で目を覚ます。
「んん……」
ベッドの横にある棚からスマホを手に取ると、画面には『1月1日 7時34分』の文字が目に映る。
(​あれ……? いつの間にか新年を迎えてたんだ…。)
俺、昨日は大晦日だというのに仕事があり、疲れ果てて「少しだけ」と思いベッドに潜り込んだはずだった。どうやらそのまま、深い眠りに落ちてしまったらしい。
​通知画面には、知り合いからの「あけましておめでとう!」というメッセージが何件も並んでいた。
「これは返すのが大変だな……」
苦笑いしながらベッドから這い出し、カーテンを開ける。差し込んできた眩しい初日の出を全身に浴び、少しずつたが意識が「今日」へと切り替わっていく。
​リビングへ向かう、昨夜食べるようと思っていた蕎麦を茹でる。湯気と共に啜る蕎麦は、空っぽの胃に温かく染み渡る。
「そういえば、今年は午(うま)年だっけ……?」
ふと思い立ってスマホで近くの神社を調べる。せっかくの新年だし、このまま何もしないのはもったいないと思い​初詣の準備をして車を出す。神社に着くと、やはり多くの参拝客で賑わっていた。
自分の番が来ると、五円玉を投げ入れ、二礼二拍手。鈴を鳴らし、「今年もいい年になりますように」と静かに手を合わせる。最後にもう一礼して階段を降りた先では、お守りの授与やおみくじが行われていた。
​運試しに一枚引いてみるも、結果は『末吉』。
「おぉ、末吉か」
まぁ凶よりはマシか、と自分を納得させ、おみくじを境内の結び所に結びつける。
​帰宅しすぐにお茶を入れ、コタツに潜り込み。じんわりとした温もりに包まれながら、思う。
今年はどんな年になるんだろう。
​スマホを手に取り、溜まっていた返信を一人ずつ丁寧に返していく。
あらためて、新年が明けたのだと実感する。
「……さて、今年はどんな年にしようかな。」
窓の外の晴天を眺めながら、俺は小さく独りごちた。

1/1/2026, 3:23:32 PM