【晩夏】
茹だるような暑さが抜け始めた秋の日。
私は好きな人と2人で土手沿いの道を歩いている。
まだポロシャツと片手に握ったアイスが似合う季節。
太陽の眩しさを鬱陶しがっても許される季節。
2人であれこれ話しながら帰る道はとても楽しい。
今日あった出来事を話していると、
不意にセミの鳴き声が止んだ。
ああ、夏が終わるな。
直感的に感じた。
ひと夏の恋はもうすぐ終わり、やがて色を濃くして秋恋が始まる。
けれど、やっぱり寂しい。
分かれ道。
「じゃあね」と手を振って、私達は別れた。
名残惜しくて彼の背中を見た。
ああ、夏よ終わるな。
9/21/2024, 12:18:25 PM