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2023/06/25 【1年後】

桜の花びらが舞い落ちる始業の日。私は数週間ぶりに校門をまたぐ。
「あっ!先輩だ♡お久しぶりですっ!」
後ろを振り向くと、一個下の後輩がいた。
-また今日も一段と輝いちゃって・・・・
周りには、その後輩に熱い視線を向けている男子たちが、何やらヒソヒソとこちらの話をしているように見えた。
ホントにこの子はモテるんだから。でもそれに無自覚なのが本当に怖いとこだけど・・・
このこは、昔っから天然で全然モテてることに気づいていない。その上男嫌いで近ずいてくる男を虫でも見るような目をして見るもんだから、彼氏できないどころか告白すらもされない。ま、可愛いからいいけど。
「やばいですよお、先輩。私の一個下が今日から入ってくるって思うと本当に緊張する〜。」
私の腕を掴みながらいったことっできづいた。
そうか、今日から私も高3か。
今更になってようやく気がついた。私はもう、あと1年しかここにいられないんだ。
昨年の今頃は、もう後輩が入って来たんだなあとか思ってたけど、もう既に二つ下の年下まで入ってきている。
-本当に時が経つのって早い。
私は何になりたいのかも、ましてや進路でさえも決まっていない。まだ時間はあると思っていたのに。
青春だってコロナでまともにできてなかったし・・・
「あ〜あ。私ももう卒業じゃん。もっと遊びたかったのにな~。」
冗談交じりにボヤいていると、なにやら隣で腕を引く力が強くなったように感じる。
「先輩・・・・卒業、しちゃうの・・・・?」
おっと、まずい・・・!!!
「嫌だ!!!先輩卒業しないでよ!先輩卒業しちゃったら私学校1人になっちゃう!留年して!私が来年卒業するまででいいから〜!!!」
全く、これだから友達ゼロの天然モテ女子は・・・
半泣き状態で私にしがみついてくる彼女の頭をそっと撫でながらふと思う。

いいねえあんたは。まだ来年があって。

1年なんてあっという間。長いように感じるけど、直ぐに終わっちゃう。
そのすぐに来たる1年後の自分を上手く想像できないまま、私は昇降口へと向かった。

6/25/2023, 10:12:18 AM