前回投稿分では、あっちの世界とこっちの世界を公的に繋ぐ組織、「世界線管理局」の平和なおはなしをご紹介しました。
今回は管理局から離れて、あっちの世界からこっちの世界に違法で技術や人を渡す組織「世界多様性機構」の下部機関、
その名も、「領事館」のおはなしをご紹介。
多様性機構の仕事はすなわち、
途上世界に先進世界の技術を伝授して、(管理局に無許可で)途上世界を開発したり、
滅びゆく世界の住民たちを回収して、(管理局に無許可で)別の元気な世界に密航させたり。
あるいは
良い環境の世界に領事館を(管理局に略)建てて
その世界を滅亡世界から来た難民たちのためのシェルターに(管略)認定して、
難民たちが、新しい世界で静かに平穏に暮らせるように、サポートするのでありました(略)。
で、そんな世界規模の領事館が
まさかの都内某所、某杉林の奥にありまして。
すなわち今回はその領事館のおはなしなのでした。
さて。
その日も相変わらずの領事館です。
東京はスギ花粉が飛散を始めた頃合い。
領事館では別世界のトンデモ技術で、円形自動掃除ロボットと空気清浄機が合体したマシン、
通称、頑張ルン●"が巡回中。
うぃんうぃん、うぃんうぃん、
頑張●ンバは先進世界の技術とプログラムに従い、
あっちの部屋の残留花粉を吸って除去して、
終わったら次の部屋の残留花粉を吸って除去して、
うぃんうぃん、うぃんうぃん。
この世界に来てから重度のスギ花粉症を発症してしまった領事館の館長のために、
それはそれは、よく仕事をしておりました。
––ところでその日、
頑張ル●バは花粉除去の自動走行中、領事館に妙な黒穴がポッカリ、開いておるのを見つけました。
頑張ルンバが空間認識センサーで、黒穴を計測しますと、どうやら子狐1匹くらいがギリギリ出てこれそうなサイズと分かりました。
ビービー!ビービー!伝えたい!
ビービー!ビービー!お題回収!
頑張ルンバは領事館長のところへ移動して、異常を伝える電子音を鳴らしましたが、
「なんだ頑張ルンバ。掃除でゴミが詰まったのか」
館長は、領事館ではなく頑張ルンバ本体の異常と勘違いしてしまいました。
「なんだ。問題無いじゃないか」
––ところでその翌日、
頑張ルンバが、またもや花粉除去の自動走行をしておると、領事館の妙な黒穴から、
子狐が1匹ぴょこん!出てきたのを見つけました。
その子狐は都内某所の、本物の稲荷狐が住まう稲荷神社のとこの、末っ子稲荷子狐でした。
ピーピーピー!伝えたい!
ピーピーピー!お題回収!
頑張ルンバは領事館長のところへ移動して、ひとまず電子音を鳴らしましたが、
「なんだ頑張ルンバ。調子が悪いのか」
やはり館長は、子狐ではなく頑張ルンバ本体の報告と勘違いしてしまいました。
「なんだ。やっぱり問題無いじゃないか」
––そしてその数日後、
頑張ルンバは、その日も花粉除去の自動走行をしておると、領事館の妙な黒穴から、
例の稲荷子狐とその親友の化け子狸と
更に子狐の友人の化け子猫と子猫又と
それから子カマイタチという合計5匹の子供ーズが
ぞろぞろ、ぴょこぴょこ!
出てきたのを見つけました。
なんということでしょう。
領事館はここ数日で、稲荷子狐たちの秘密基地として、勝手に認定されてしまったのです!
ビービー!ビービー!伝えたい!
ビービー!ビービー!最後のお題回収!
頑張ルンバは領事館長のところへ移動して、やはり警告音を鳴らしましたが、
「最近本当に妙なタイミングで警告音出すな……」
相変わらず館長は、子供ーズの大所帯ピクニックではなく頑張ルンバ本体の異常と勘違い。
「花粉飛散が本格化する前に、そうだな、ちょっとカネはかかるがメンテナンスしてもらうか」
領事館長は親玉組織の、連絡が取れる構成員・ネギというやつに連絡をとりました。
頑張ルンバの伝えたいことは伝わらず、
領事館の黒穴はそれから2週間程度開きっぱなし。
稲荷子狐たちによる領事館の大所帯探検は、2週間で累計4回程度、発生しましたとさ。
2/13/2026, 4:23:13 AM