しょめ。

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【⠀No.7 鳥のように 】


「会いたい」

私も同じ気持ちだった。
今は休日だから、学校は休みで、街は人で溢れている。
暑くて少し出歩くだけで吸われていく体力を温存しようと
ゆったりしていたら、もう外は真っ黒に染まっていた。
現在、午後八時。
明日は学校だけれど、まだ12時間ほどは会えない。
それは俺たちにとってはあまりにも長くて。

「話してたらすぐだけど、俺はいつでもどこでも
近くにいたい。」

これも、同じ意見。
電話越しに流れる甘酸っぱい空気が更に心を締め付ける。
いつでも可愛く居られるように保湿で肌を綺麗にする。
貴方が好きだと言った香りのヘアオイルを使って髪に櫛を
通すと、思い出がフラッシュバックする。
ベッドに寝転んで胸に携帯を押し付け、感情のままに抱きしめて呟く。

「好き。」

少し嬉しそうに声を弾ませた彼はこう言う。

「鳥みたいに空を飛んで、君に会いに行けたら。」

嗚呼、私ってなんて幸せ者で、強欲なんだろう。
こんなにも恵まれていながら思ってしまう。

君が鳥のように空を飛んで、
私に会いにきてくれたらいいのにな。

8/21/2024, 10:55:46 PM