『特別な夜』
私の家は由緒正しい家柄で、お父様が結構多方面から恨みをかいやすい立場の方なので、私には四六時中護衛がついている。
昼担当の方と夜担当の方で別れていて、それぞれの時間帯に特化した護衛に変わるのだ。
特に、私は夜の時間帯が楽しみだ。
何故かと言うと、夜の護衛担当である男性に好意を寄せているから。
彼の名前は宵(よい)さん。
身体能力はずば抜けて高く、我が家の護衛の人員不足を解消する為に造られたアンドロイドである。
そう、私は、アンドロイドに恋をしている。
宵さんは、夜担当なので、夜にならないと稼働させてもらえないのだ。
だから、会えるのは夜だけ。
だから、宵さんが稼働している時間は私にとって特別な夜なのだ。
それから夜になり━━━━━━━━━━━━。
「·····ねぇ、宵さん、聞いてもいい?」
『なんでございますか?お嬢様』
「宵さんは、この仕事嫌になったことないの?」
私が言うと、宵さんは首をかしげた。
『どうして、そのようなことを仰られるのですか?』
「だって、生まれた時から仕事が決まっているのって、なんだか宵さんの気持ちが尊重されていない様に思えたから·····」
『·····ふむ、お嬢様はそうお思いのようですが、私はそうは思いませんよ』
「·····どうして?」
『私の様なアンドロイドに仕事を与えてくれる人間様はあまりいらっしゃらないのが現状なのです、大半のアンドロイドは失敗作として廃棄されるだけにございます』
「そんな·····ひどい、私なら絶対にそんな事しないわ!」
『そうですね、お嬢様は心優しいお方なのできっとそのようなことはなさらないでしょう·····、ですから、私は旦那様とお嬢様に感謝しているのですよ』
「お父様はともかく、私はなにもしていないわ、仕事を増やしているだけよ·····」
『いいえ、お嬢様がいらっしゃるから私の仕事があるのではありませんか、なので、私はこの命尽きるまでお嬢様にお仕えするつもりにございます』
「そんな嬉しいこと言ってくれると思わなかったわ、今言った言葉絶対守ってよね」
私は涙ぐみながら約束だと言わんばかりに強く言った。
『はい、勿論でございます、お嬢様』
これからもこの特別な夜は続くだろう。
二人の約束とともに。
1/21/2026, 1:09:49 PM