僕が偽物の鳥のように、動かないことが出来たなら、どれだけ良かっただろうか。
彼が来てから、僕の人生は一気に変わってしまった。
彼が来るまでの僕は、何度か姿形が変わってしまった様だった。その事に僕はあまり興味がなかったから、どうでもよかったんだけども。
今の僕は、美しい白色をしている。まるで、夏の日の入道雲のように、キラキラもくもく、ふわふわと。
前の主によく似た僕は、新しく来た主には好みではなかった、というよりも前の主よりも自分の好みの方が大事だったようで、常に見えてた青い空はいつしか黒く染まり、前の主によって築き上げた鳥籠の中は、いつの間にか制限だらけになってしまっていた。
嗚呼、ここはこんな場所ではなかったのに。
ごめんなさい、主の場所を守れなくて。みんなの場所を守れなくて。何十年も一緒に居たのに、別れはこんなにも呆気なく儚いのか。悔しい。僕が鳥じゃなければ。自由の象徴じゃなければ、もっとここにいられたのかな。
だけど、今は悔やんでも仕方がないからさ、今だけは飛び立ってあげるよ。自由の象徴だって分からせてあげる。僕のこの美しい白い羽を見せつけて、手放さなければって思わせるから。
この鳥籠は、自由だから良かったのだ。だからもっと、美しく強くなってやるから。
だから、みんなは僕を捨てずに待ってて。きっと、またここに帰ってくるよ。
あんな、ばってんになんか負けないんだから!!
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待つことには慣れてるので、いつまでも青い空の中で入道雲のように美しく自由な白い鳥が飛んでいる、あのアイコンが帰ってくるのを待ち続けてます𓇢𓅮
8/21/2023, 2:49:35 PM