『夫婦』
夢を見た。大人びた君が隣で寝ている。
優しい日差しがカーテン越しに部屋へと行き渡る。
静かな外、君の寝息だけが聞こえる空間。
寝相のせいか寝る前は繋いでいなかった手。
視界も耳も肌の温もりも幸せで満たされている。
これが夢なんだろうな...
あぁ、覚めて欲しくないな。
この景色を目にしっかりと焼き付けていたい。
これから先...一生忘れることなく...
けれど幸せに包まれた体はゆっくりと目を閉じる。
目が覚めたら...君にこの話を...
夢を見た。君であろう視点から私を見る夢。
君はきっと忘れないと思うしこんな素敵な夢を見たって
ふにゃけた笑顔で話すだろう。
1人だと大きいベッドから出て仏壇に線香を添えて鈴を鳴らす。
両手を合わせて目を閉じる。
数秒して目を開けて仏壇の君に話しかける。
「今日君が見てきたであろう世界を見てきたよ。
私あんな幸せそうな顔してたんだね。
そういえば、今日はいい夫婦の日だってね。
...君が生きてたら一緒にお祝いしたかったよ。」
語り部シルヴァ
11/22/2024, 11:47:16 AM