辺りを見渡せば、狐の面や兎の面、ひょっとこなどの面をつけた人が行き交っていた。
「今年も賑やかねえ」
「そーやね。ところで君はなんでお面3つも付けてんの?」
隣を見れば、着物姿の4つ顔、お面3つに顔1つの友人がいた。
「初めて会った時を再現しようかなと思いましてね」
「そんなら着物なんはなんでなん?」
これは君の気を惹くためさっ!と元気よく言う友人から、今すぐにでも離れたい。
とても目立っているのだ。お面を3つも付けて、女物の着物を着たイケメン。これはとても目立つ。
友人は一応、生物学上は女なのだがあまりにも顔がイケメン過ぎる故に、こういう服を着ると女装のように見えてしまう。
「僕、目立つの苦手なんだケド」
「目立ちたくないなら一人称変えたら?その一人称も結構目立つよ。」
彼女が指摘する。
一応僕も、生物学上は女だ。しかし、僕は私、と言うよりも僕と言っている方が落ち着く。仕方ないよね?
「誰もそこは気にしないと思うよう。髪型だってほぼ男だし、気づかねえっしょ」
「……初めて会った時はもっと女子してて可愛かったのに」
頬を膨らませる友人はとてもじゃないが、可愛いとは言えない。どちらかと言えばやはり、格好いい。イケメン面にあわない表情をするものだ。
「今の僕は嫌い?」
「いーや!前よりも我を通していてすっごくキレイだよ!大好き!ファンサしてー!」
「そりゃ良かった。ほら、投げキッスだ受け取れ」
オチはない!仕方がない!だってオチは休暇中!
7/28/2023, 2:44:43 PM