お題「太陽のような」
「俺らってさ、似てると思わない?」
風で掠れる草木の音が鼓膜に響くくらい静かな夜に、何の前触れもなく呟かれた言葉が聞こえた
「似てる、のかな?」
初めて似てるなんて言葉を言われた気がする
そんな疑問すら浮かんだ事が無かった
「例えばどの辺が似てるの?」
知りたくなった
確かに見た目は似てる気がする。でもそれだけだ、少なくとも私はそう思う
「例えばねえ、見た目!」
「うん。他には?」
「性格とか?」
「性格って、全然違うじゃん笑」
「うん、そうなんだけどさ、いやー、似てる部分もあるっていうか何ていうか」
「何が言いたいの?」
「いや、うん、」
少しの沈黙の後に
「俺ってさお前に嫉妬してんだよ。」
はっきり言ってくれない彼に少し声のトーンを下げてつい語尾が強くなってしまったが、彼に返された言葉に少し動揺して
「嫉妬?」
と次は困惑した声で返してしまった
「そう嫉妬、俺ってさお前にずっと嫉妬してた。俺はお前みたいになりたかった」
私になりたかったという言葉の意味が一瞬わからなかった。
でも
確かに私もあなたみたいになりたいって思った事がある。私は明るくても誰にも近いてもらえない、あなたは私とは違う。
彼は続けた
「お前はいつも明るく輝いていて、皆んなに元気を与える。どんな暗闇も明るく照らしてくれる。皆んなが感謝してるのはお前なんだ、俺なんて存在する意味なんて無いんだ」
それは違う。自分を卑下しすぎだ
私は心の中で憤りを感じた
「違うよ。あなたの存在はとても大事だよ」
彼は黙ったままみつめてる
「あなたがいるから暗闇を照らせる時がある。あなたがいたから、今の地球がある、あなたのその体中の傷は地球を守ってきた証だよね、私は知ってる。だからあなたは存在してる事がとても意味のあることなんだよ」
「俺は君のような、太陽のような輝きを放ちたかった」
「うん。私も本当はあなたのように、皆んなが近づいてくれるような存在なりたい。君が、月がいるから私の光は夜の暗闇に届く。宇宙の法則から私達は私達でいる事しか出来ないけど、これからもこの広くて狭い宇宙の、私達の銀河でよろしくね」
完
2/22/2023, 1:08:07 PM