霜月 朔(創作)

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微熱


貴方に触れるたび、
私の心は微熱に浮かされる。
身体は火照り、思考は霞み、
現実さえ揺らいでしまいそう。

赦されない恋と知りながら、
理性を振り切るほどに、
私は貴方に溺れてしまう。

貴方の瞳は、私を通り越して、
別の誰かを映しているのは、
知っている。
それでも、今は、
私だけを見て欲しい。

私も、過去の影や後悔の鎖、
心に残り続ける未練の残滓さえ、
全て忘れたふりをして、今は、
貴方だけを見ているから。

幻の恋に心を奪われ、
微熱に身体を支配されて、
貴方を求める渇望が止まらない。

貴方の指が私に触れるたび、
心の静寂が炎へと変わる。
その指先は、私を溶かし、
思考さえ、壊していく。
胸を刺すこの痛みでさえ、
貴方への愛しさへと変わる。

例え、この微熱が、
赦されない夢だとしても、
例え、この微熱が、
全てが幻であったとしても、
この瞬間、この真実が、
貴方を救う光になればいい。

貴方に触れるたび、
私の心は微熱に浮かされる。
そしてまた、微熱の中で、
私は貴方を愛し続ける。

11/27/2024, 12:03:44 AM