風雪 武士

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逆光。

1994年8月。
僕と恭子さんは砂浜にいる。
「せっかくだから海をバックに写真撮ろうか?」
僕はカメラを構えて言った。
「うん、良いわよ」
恭子さんは上機嫌で答えた。
「素敵な笑顔を下さい。ハイ、チ−ズ!」
カシャ、カシャ、カシャ。
恭子さんに、海辺の様々な場所でいろんなポ−ズをとってもらった。
「モデルがいいからとっても楽しいよ」
「お上手ね」
恭子さんを家に送った後、写真屋さんにネガを渡し現像をお願いした。
1週間後、写真屋さんでネガを受取り、恭子さんの部屋で写真を見た。
「何これ?逆光で顔が写ってないよ、この写真は目を閉じてるし、これなんか腕が3本あるじゃない!心霊写真じゃないの!!」
恭子さんはご立腹だ。
「心霊写真をテレビ局に送れば有名になるよ」
僕はからかった。
「そんなことで有名になりたくわないわよ!」
「でも、この最後の1枚はどう?」
その写真は恭子さんが光り輝く海をバックに微笑んでいる。
「そうそう、こういうのが欲しかったの」
恭子さんはご機嫌になった。

今の時代は、カメラがなくてもスマホで高画質の撮影が出来る。
しかも、撮影した画像をその場で確認出来るし、何枚でも撮影出来る。
便利になったが、その反面カメラ屋が沢山廃業している。
新製品が発売されてると必ず被害を被る人が出る。
生き残らなければ…。

1/25/2026, 9:16:40 AM