ほろ

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「ごめん。そういう風に見れない」
十年も片想いしていた幼なじみに思い切って告白したら、フラれてしまった。
いや、幼なじみの気持ちも分かる。私達の間に、付き合うとか結婚するとか、そういう言葉は生まれない。仲が良くて、ちょっと話しやすい異性。それが恋愛に傾くか友情に傾くかの違いで、私はたまたま恋愛に傾いてしまっただけなのだ。
「だよね、ごめん。変なこと言った。忘れて」
「……本当、ごめん」
「謝んないでよ。幼なじみでしょ」
「うん」
じゃあ、とその場から離れれば良かったけれど、私はすぐに離れられなかった。もしかしたら、ってちょっと期待していた。引き止めるか、少しくらい好きって言うか、それくらいあると思っていた。
「じゃあ」
先に幼なじみが動いた。私が期待していた言葉はひとつもない。その代わり、ハンカチを渡される。
「涙拭いてから来てね」
「…………バカ」
そこで優しさを発揮するなよ。
去っていく背中を睨む。
せめて、このハンカチを返さないで持っておくくらいは許されるかな。なんて。

1/27/2024, 11:52:24 AM