『未知の交差点』
〜星の図書館〜
――おや、いらっしゃい
っふふ、星の栞で飛ぶのも
慣れてきたようですね
私としてもありがたい限りです
さて、どうぞ (パチン)
あなたはコーヒーでしたね
ミルクとお砂糖も、
ここに一緒に置いときますね
話したいこと、ですか?
ええもちろん
「プラネタリウム」ルーム 行きますか?
―――そこまでじゃない
わかりました
では、いつもの図書館の
広間の一角で大丈夫そうですね
さて、
「交差点の夢をみた」、ですか
少し興味がありますね
せっかくですし、
私の小さな書物の参考に
ぜひ聞かせてください
場所は、
道路は知ってるけど
並びは色んなものが混ざってた
知ってる場所に、
違う交差点の建物や信号が使われてた
行く先々で、
その都度そんな感じの光景が訪れたと
最後はまだ道の途中だけど
霧に包まれて次第に目が覚めた、と
ふむふむ、面白いですね
なんだか、今日までの人生
過去の出来事をたった一晩で
まとめて通ったようですね
?
まだ全部は通った気がしない?
ええ、そうでしょうとも
私のこの図書館を利用したとしても
あなたが生きてきた人生を
一晩で振り返ったり反省したりするのは
とてもじゃないですが難しいでしょう
ですが、そうですねぇ…
その交差点を進んできて、
どうでしたか?
怖かったのか、辛かったのか、
楽しかったのか、何ともなかったのか、
悲しかったのか、悔しかったのか、
1番大事なのは、
その通った時のあなたの気持ち
なんだと思います
その気持ちは私は今は聞きません
あなたが話したい時に話せば良いんです
ですが今は1度、
自分自身に聞いてみてください
選ぶ度にその先のワクワクが勝ったか
それとも選ばなかった道に後悔したか
あなたの心の奥底の気持ちが
その夢を見せたのかもしれませんね
選んだ道をどう感じたでしょう
選ばなかった未知をどう考えるでしょうか
誰ひとりとして、選べたかもしれない
選べる選択肢の全てを選べませんし
掴むことはできませんからね
選んだひとつひとつを
積み重ねるのが人生ですからね
選ばなかった道ですか?
その道は基本的には消えます
「選ばれなかった」という役目を果たすために
ですが……そうですね
今から改めて選んだり、はたまた
想像することは出来るかもですよ?
それは良くも悪くも、
それが、「物語のひとつ」になるので
決して無駄ではありませんし
楽しみかもしれませんし、
後悔かも…知れませんし、
新たな積み重ねになるかもしれませんし
―――不安ですか?
それはとてもいいことです
なぜか、ですか?
それは、
「あなたがまだ生きていたい証拠」
それから
「今よりも自分を幸せにしたい証拠」
でもあり
少なからず「頑張ろうとしてる証拠」
ですから、とても良いこと なんです
あなたのこれからが
今より良くなることを願ってますよ
私は、今回のように
小さなお手伝いしかできませんが
いつでも力になりますからね
さて、まだ時間はあるみたいです
ほかの本を見てもいいですし、
もう少し語っても良いですし、
心の整理も、もちろんできますよ
あなたが今より、
ひとつ、もうひとつ、
また良くなりますように―――
〜シロツメ ナナシ〜
10/12/2025, 5:40:55 AM