ジーキャー

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 ベルの音色が鳴り響く。それは祝福をもたらす音色か。それとも、災いを告げる音色か。
 それは両方である。何故ならば、奏でている二人にとっては祝福となっており、聞いている者にとっては災いとなっているから。
 とある小世界は審判に掛けられていた。存続するか否かである。
 その世界の神は、新婚を迎える信仰心のある夫婦の結婚式に大きなベルを贈った。結婚式に鳴らすことで祝福を受けられると説明して。
 しかし、それは神が仕組んだ罠である。実際に、信仰心のある夫婦は祝福を受けることができる。
 だが、信仰心が無い場合、絶無だった場合はどうなるのか。聞いている者にとっては災いとなるのである。
 どうして神は災いをもたらすことにしたのか。人が抱くべき信仰心を無くしてしまったからである。
悪魔によって堕落した人々は悪行を呼吸するかのように繰り返して、幾重にも太い、神の堪忍袋の緒が切れてしまったのである。
その処罰として災いによる破滅を与えることにしたのだ。信仰心がある夫婦を除いて。
 結婚式の当日。二人の夫婦は神から贈られた大きなベルを鳴らし始めた。二人にとっては、祝福のお裾分けと信じて。
しかし、実際には災いの音色。それが結婚式場で、いや、小世界全体で鳴り響いている。
 神が仕組んだ罠を誰も見抜くことができようか。誰もできないのである。
 二人がベルを鳴らし終える。すると、そこにあったのは、人々を堕落させた張本人である悪魔が二人の前にひれ伏していたーー。

 ーーその小世界はどうなったのか。誰にも分からない。悪魔が二人を堕落させることができたのか。去らせられたのか。
結末は誰にも分からないのであるーー。

12/21/2024, 4:50:25 AM