saku

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秋晴れ
秋子さん
秋日和
麦秋
秋刀魚
晩秋

実家の本棚の背表紙に並んでた
文字の数々
いつのまにか
棚板は崩れ
本棚は崩れ
埃の砂漠が広がる
床に本棚が沈んでゆく
次は床が沈む
その次は柱が沈み
壁は埃の塊となって
散りゆく
家の盛り土2メートル
父が建てた大きな家
まだ若かった父の姿
希望に満ちた男の人が
何もない砂利の上に立っている
だけども風が吹くたびに
砂利は砂粒に戻り
砂粒は海水を含んで海底の泥
干拓地は江戸時代の海に戻り
石の中ですやすや眠っていた貝たちは
次々に息を吹き返す
そうして戻る
元へ戻る
縄文の海へ
生まれ直す
はじめから


9/27/2023, 7:53:51 AM