やわらかな光
これは実話なんだけど
子供の頃に母親と二人で寝ていたら深夜2時位に金縛りにあった
生まれて初めての金縛りで声も出なくて
怖いから目を瞑ってやり過ごそうとした
そしたら台所の方から包丁とまな板がぶつかる
「トントントントン」
って音が聞こえてきて
あぁ、お母さんがお弁当作ってくれてるのかな…
と思ったけど
横を見たらお母さんの寝顔があった
じゃあ今台所にいるのは誰だろう
そう思ったら急に怖くなってまた目を瞑った
そしたら今度はその「トントントントン」っていう音が少しずつ近づいてきた
台所…リビング…寝室…そして寝ている私の耳元
右耳で鳴り響く音を聞きながら
私もしかして死ぬのかな…なんて考えが浮かんだ
そしたら、目の前が急にオレンジ色に光った
目を瞑っているから真っ暗なはずなのに
不思議と眩しいとは思わなくて
むしろ安心感のある光だった
その光が消えた瞬間
耳元まで来ていた音は消え
金縛りもなくなった
私は慌てて起き上がってバクバクうるさい心臓に手をあてた
何が起こったのかは分からないけど
あのやわらかな光が私を助けてくれたのは分かる
手を合わせて心の中でお礼を言った
そしたら耳元でまた音が聞こえた
「チッ」
10/17/2024, 2:21:16 AM