無人

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私の日記帳。私は日記をつけることができない。それは、毎日同じ行動をするということができないからだ。そして、誰にも言えない理由がもう一つ。
何を書いてもいいか、何を書いてはいけないかそれがわからないのだ。日記なんてものを書いたら、形に残ってしまう。家族や友人に日記をみられたら?私の中の歪さを知られてしまったら?
私は自分の倫理観に自信がない。かわいそうだとは思うが、虫を蘇生しようとはしないし、たとえ人間でも死体にシアター越しでない同情をかけられる自信がない。美学なきものに価値はないし、知人も他人も平等にただ人間であると言う以上の感情を持てない。そのままの私をぶちまけたなら、そんな意味のわからない黒い渦のような本質が形となって残るのだ。コリ固めて常識を演じている毎日が、日記上で齟齬を起こしてしまっていたらどうする?ノリという免罪符で流せる普段の違和感を形として視認した時、相手はどうする?そして私はみてしまった相手をどうする?
だから、私は日記をつけない。独白という形の自分語りは少しリスクが高すぎる。気のせいや冗談で受け流せるままでいられたならば、あなたを守れるだろうから。

8/27/2021, 8:58:20 AM