不眠症

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私と彼女を繋ぐ、赤く染まった糸が途切れた。ひたひたと地面に垂れ落ちる赤は鮮やかさを失い黒く澱んでいく。

「終わりだね。」

「っ……」

彼女は途切れた赤い糸を未だ滴らせる鋭利なそれを私の胸元に深く突き刺した。痛みなんて、もう感じなかった。

 ねぇ、もし私たち同じ場所で生まれて、同じ場所で育ったなら、お友達になれてたと思うの。こうやって血に塗れる戦場で、何も知らずに剣を振るうことも無く。友達になりたかったんだ、って…言えたら、よかったのに…。

「ああ、今行くよ。」

かつて同じ世界で手を繋いだ2人は、もう一度思いを馳せる。切った糸を繋ぎ直すように。

今度こそ、幸せになれるように。

【赤い糸】

6/30/2024, 10:22:53 AM