玉響

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窓越しに見えたのは、クラスの静かな図書委員の姿だった。黒く長い髪と、縁の細い眼鏡で、静かだけれど、奇妙な美しさがある少女だった。
彼女はちらりと周りを見渡して、スカートのポケットから色つきのリップを取りだした。学校では禁止されている、色つきリップ。つけてる女の子たちは沢山いるけれど、彼女が持っているのはいつも色のつかない、薬用の透明リップだった。
少し震える手で、リップの蓋を外してゆっくりと唇に添わせる。綺麗な形の唇が花開くようにピンクに染まるそのさまから、僕は目を離せなかった。
ぷる、と瑞々しい唇があ、と言うように開いた。
思わず顔を上げると、彼女の切れ長の目と目が合う。
いつもよりピンク色の唇と、恥じらいで赤く染った頬に、僕はどうしようもなく、欲情している。

7/2/2024, 8:43:27 AM