白糸馨月

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お題『未来』

 未来が見えたところで正直、この平和な世の中では大したことない。私には、生まれつきすこしだけ先の未来を予知する能力がある。これは、お母さんにもあるから多分遺伝なんだと思う。
 月曜日に学校行く前にこの能力を使って、無用なトラブルを避けるくらいしか役に立たない。おかげで学校生活、特に目立つことなく、誰かに目をつけられるということもないまま平和に人生を歩めている。

「ねぇ、私彼氏できたんだ!」

 放課後、カフェで新作のいちごパフェをつついてる時に親友から報告を受けた。高校生ならきっと普通なのだろう。
 ただ、私達は女子校で異性との出会いには恵まれていない。

「おめでとう。どんなひと?」
「えっとねぇ、バンドやってるの! 歌ってる姿がすっごくかっこよくってぇ、他に女の子がいるのに私に話しかけてくれてぇ、この前付き合おうって言ってくれたの!」
「ふぅん」

 親友は正直、めちゃくちゃかわいい。この前の文化祭でミスコンに出されてたから一般的に見ても可愛いだろう。
 だが、いやな胸騒ぎがする。私は目に力を入れ、彼女を視界に入れた。

 親友が男に連れられて歩いている。その先には何人もの下着姿の男女。そして、日付は来週の土曜。

 吐き気を催したくなるビジョンに頭をふる。

「どうしたの?」
「あのさぁ、来週の土曜日あいてる?」
「うん、あいてるよ!」

 良かった、まだ予定が入ってない。

「今度二人でディ●ニー行かない?」
「えっ! あれ新しいアトラクション出たんだよね! 行きたーい!」
「よし、じゃ行こう」

 念のためもう一度未来予知して、私と親友の二人がアトラクションを楽しんでるビジョンに変わったのを見る。回避できたことに私は胸を撫で下ろした。

6/17/2024, 11:44:08 PM