作品39 寂しさ
帰り道はいつも暗い。仕事は早く終わらせたはずなのに。気づくと夜が迫ってきて、暗くなっている。
冬が来たんだな。
あなたが呟いた。そうですねと返す。
たまたまバス停まで帰り道が同じ。ただ、それだけの理由で、いつもあなたと一緒に帰っている。
言葉を交わすときもあれば、交わさないときもある。他の人だったら気まずくなってしまうけど、あなただけは別。
この時間が好きだ。
雪が降り始める。あなたの髪の毛につき、その結晶をゆっくり崩していく。それがとても綺麗だった。
見惚れながら歩いていると、あっという間にバス停までついてしまった。
それではさようなら。
あなたが言った。同じくさようならと返す。バスに乗ったあなたを、小さくなるまで見て、歩き始める。
さっきよりも空気が冷たくなっている気がした。星の輝きが眩しく見えた。雪が少し積もっていた。
一人分の足跡を、付けていく。
12/19/2024, 1:59:01 PM