どすこい

Open App

「風鈴の音」

あなたの家の風鈴は窓の内側にあって、クーラーをつける夏に鳴ることはほとんどない。
「せっかく風鈴があるのに、全く鳴らないなんて勿体無いじゃん。」
そうやってあなたはいつも風鈴に息を吹きかけて鳴らしていた。あなたが息を吹きかけると風鈴はゆっくりと揺れながら控えめに音を立てていて、私はそんなあなたがいる時にだけ鳴る風鈴が好きだった。
でも、あなたは風鈴になってしまった。床に倒れた椅子と、ゆっくりと揺れるあなたのからだ。心なしか、チリンと音が聞こえた気がした。

7/12/2025, 11:41:14 AM