大狗 福徠

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風景
曇天の空が広がっている。
今のも泣き出しそうな貴方と空が目の前を占領している。
このクソ寒い冬だと言うのに貴方は半袖で、
しかもシャツ以外は下着だったから驚いた。
涙を堪えて声を出せない貴方を取り敢えず家に上げる。
暖房をちょっと強めて、意味不明な場所にしかないケガの手当てをして風呂に突っ込んだ。
着替えを適当にほん投げて、
すぐにドライヤーをしてやって飯を食わせた。
何があったのかは別に聞かなかった。
なんとはなしに何があったかを察していた。
ご飯を食べ終わった後、貴方は堰を切ったように泣き出した。
嗚咽ばかりで、何を言っていたかは覚えてない。
できる限りの全力で、できる限り優しく抱きしめた。
そんなんがあったのが確かえ3,4年くらい前だったはずだ。
憔悴した貴方は何処へやら、今は私より稼いで家に金を入れてくれている。
そんなに元気になったならもう一人でもいいんじゃないか
とも思うし言うがそれはまだ別問題らしい。
まだってなんだまだって。
まぁ幸せそうならいいか、とあの日と同じ曇天の空に目を向けた。

4/13/2025, 9:34:47 AM