澄んだ瞳
他の奴らのことなんて信じられず、嘲笑った俺を、涙を溜めた澄んだ瞳が射抜いた。
裏切られることなど、つゆほども信じず、信頼する君。
「寂しい人だね」
雨の中、ずぶ濡れの俺と傘を差す君が向かい合う。
「お前は簡単に人を信じるんだな」
少し間を空けて、答える。
「私が信じたかったから信じただけ。その人が信じるかはその人次第。裏切られたらそれまで。裏切る理由は私がその人にとって信じられる人じゃなかったから」
淡々と告げられるその言葉は、君の澄んだ瞳のように、スッと俺の心に染み込んだ。
「・・・お前は俺を信じているのか?」
また少し間を空けて、答える。
「うん。他の人に近寄られるのが怖くて、いつも一人でいるの。でもね、本当は優しくて、一人でいたくなんかないの。他の人を信じたいけど、信じきれなくて・・・。
そういう不器用な人だって信じてる」
照れたように、はにかんで、
「寂しい人だね」
ともう一度言った。
ーあぁ、俺の人生で初めて信じたい人に出会えた。
気づけば、雨は止んでいて、遠くに虹がかかっていた。
7/30/2023, 12:18:57 PM