ことり、

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こんな夢を見た

独身同士の数少ない友人のミホ。
久々に会おうと連絡が入った。
5年ぶりのミホは日に焼けて、たくましく
なっていた。
今も世界各地を旅して、現地でバイトをして生活しているらしい。
普通の会社員である私、サナエには
自由でうらやましい生活に思える。

今は日本にいて、農業主体の法人のバイトをしていると言う。
無農薬の野菜を分けてくれると言うので
車で連れていってもらった。

車はどんどん郊外へ。あるところで車を
止め、「少し歩くよ。手ぶらでね。
落としちゃうから」とミホ。
あ、ケータイ車に置いてきちゃった。
まあいいか。

…少しのつもりが30分は歩いた。
こ、これが田舎で生きる強さ、かな⁈
「はいここですー」と見れば、法人のわりに
子供がたくさん遊んでいた。
もちろん大人もいる。皆ミホと同じく
日に焼けて、ステキな色合いのTシャツを
着て、澄んだ瞳をしている。

ご飯をご馳走してくれると言う。
野菜がメインの無国籍アジア風料理が並んだテーブル。この料理は私が〇〇に居た頃
習ったもので、使われてる野菜は××さんが
作った等、教えてくれる人たち。
この法人のリーダーという男性が
上座に座った。意外と若い。
長髪で精悍な顔つき。引き締まった体。
少しキュンとしてしまった。
美味しい料理を食べ終わると、
大人達の楽器で子供達が歌い踊った。

突然ミホが立ち上がった。
「約束どおり次の『お母さん』を
連れてきたわ。もういいでしょ。
私を解放して‼︎」
ミホは涙に濡れた瞳で私を見た。
「サナエ、ごめん」

私は理解した。
この「法人」の皆が優しかった理由。
ケータイを置いて来させられた理由。
私は次の皆のお母さんなんだ。
「よろしく。サナエ『お母さん』」
リーダーはにこりと微笑んだ。

こんな夢を見た。
それは私がここにきた日の夢だ。 
目覚めると泣いていた。
私の傍らにはすやすやと眠る息子と娘。
そしてその父親であるリーダー。
私の夫でもある。
今日も皆と農業に勤しむ。
なんという現実。
なんという夢…。
ミホ、私はいま、幸せだよ。

1/24/2024, 8:15:21 AM