紺色

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彼女の冷たい手をそっと包むと少し遠慮がちに握り返してくる。

その感触が嬉しくて、愛おしくて、何度も彼女の手を握ってしまう。

やりすぎると流石に嫌がられる。

寒い朝。

誰もいない道を二人で歩く。

「手、つながないの?」

突然の問いかけに一瞬戸惑う。

それから、自然に笑みがこぼれた。

「繋ぎたいの?」

否定されると思っていたのに、彼女は小さく首を下げた。

「繋ぐ?」

僕は聞く。

彼女の手が僕の手に当たった。

僕がそっと手を取ると握り返してくれた。

それからゆっくり手を絡める。

指と指の間に冷たい感触があった。

確かにそれは彼女の手だった。

僕がしっかり握ると彼女は言った。

「普通の繋ぎ方がいい」

「恥ずかしいの?」

少し笑いながら彼女を見た。

「違う、普通の繋ぎ方のほうがあったかいから」

「そっか」

手を繋ぐのは嫌じゃないんだ。

なんて思いながら僕は手を繋ぎ直した。

                              手を繋いで

読んでくださりありがとうございました。

もう卒業です。

制服はちょっと嫌だけど。

中学もちょっと楽しみだな。

3/21/2025, 6:03:50 AM