深夜徘徊猫

Open App

「夜空を駆ける」

 家族がみんな寝静まった夜。誰も起こさないようにそっとドアを閉める。

 今日は二月の満月。スノームーンだ。

 家の庭に立つとこの時だけ田舎に生まれてきたことを感謝する。電灯もなんにもないから透き通るような夜空がそこには広がっている。風で木に積もった雪が落ちてきているのかな。星が落ちてきているみたい。

 星のかけらは私に向かって降ってきて体温を奪ってゆく。マフラーくらいはしても良かったかも。

 夜空の中を駆けれたらどんなに素敵なのだろう。気づいたら月の近くに行こうと走り出していた。近くになんて行けないのに。

 それでも、今の私の鼓動は身体中を駆け巡っている。

2/21/2025, 3:22:30 PM