「あなたは反射するもの」
グラデーションの墨色に、ひとつだけ淡い色。
私の描いた絵を見て、彼が呟く。
「あの風景、君にはこんな風に見えているんだな」
あのとき、私は気づいたのだ。
なぜ、彼と一緒にいる時に風景が違って見えるのか──ということに。
「非常に興味深い」
自身の顎を撫でながら、彼は頷く。
「君の見る世界がどういうものか、僕に見せてくれないか」
息を呑み、彼の顔を見つめる。
「その……これからもずっと」
頬を染めながら付け足した一言に、胸が詰まる。
それって、それって……
────君が見た景色
2025.08.14.
8/15/2025, 8:08:42 AM