悩む人

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あたしには余白や空白の良さがわからない。文字を書いたり絵を描いたりして生じるそれらを美と讃えるのなら、初めから何も記さなければ、美そのものを体現していることになると思うからだ。

人についても同じことが言えそうだ。白紙のままであるほうが、何でも刻むことができるという余地を残していて、あたしの腹黒い欲望を刺激する。

誰も似たようなものだと思う。赤ん坊に愛おしさを覚える点は、その最たる例ではないだろうか。

純新無垢な存在を自分の手で穢すという行為を恐ろしいことのように感じるかもしれない。けれどゼロの状態である赤ん坊に上書きをしていくことは、まさにそれと同じだ。そう考えると、白紙も人の手が加わって作られたものだから、真に美しいものではない、と言えそうな気がしないでもない。

本当のゼロも究極の美も、刹那的にしか存在していないのだろう。

2/21/2024, 11:45:13 PM