友人が雨女だった。
私は雨女雨男といったものには懐疑的だったけど、彼女は自分自身のことをいつも「雨女」だと呼んでいた。
雨女という妖怪が昔存在していたと言われている。そのことから、その行動によって雨をもたらしているかのように思える人を「雨女」と呼ぶ。
水神様に好かれてるから縁起が良いだとか、悪いだとか色々真偽は定かではない。
そもそも私はそういったオカルト話を信じていなかった。だから、友人が雨の日になるとことあるごとく「私のせいで」「私が雨女だから」と言うのが堪らなく嫌だった。
天気予報なんてしょっちゅう変わるし、地球から見た日本の天気なんて本当にちっぽけなことなのに、まるで我が世の終わりかのように話す友人の傲慢さが嫌だった。
そんなもので天気はどうこうなるものではない。
しかし、学生時代から数十年、長らく音信途絶えていた友人の訃報が届いた。水難事故だったらしい。
葬式に出た。
もう長いこと会っていなかったが、雨女だった友人の鬱々とした嫌みたらしさは、常に私の学生時代の記憶と共にあった。連絡も寄越さない。いけ好かない性格だったが、それでも悪友だった。
その日は晴れていた。天照に見放されたとよく嘆いていた友人に似つかわしくないほど、どこまでも続く青い空だった。
お題/どこまでも続く青い空
10/23/2024, 11:54:31 AM