揺れる羽根
最近好きな人ができた。でもまだ片思い中だ。友達に相談したら「キャー。いいじやん。告白すれば〜」とはしゃいでいた。
イヤ。まだ片思いを楽しみたい気分だ。だって久しぶりに好きになった人だし、好きだと気づいてから高校生活が楽しい。そうなのだ。彼は何してるかなとか、また会えるかなとか、考えるだけで楽しい。
「ねぇ。あんたの好きな人て誰よ」
「う〜ん。ナイショ」
「なんでよ、言いなさいよ。協力するよ」
ありがとう。友達。でも、1人でドキドキするのも楽しいなんて言ったら、「恋に恋してるだけじゃん」とか言われそう。そうなのかな?まあ、楽しいからいいや。
私の好きな人は、コンビニの店員さんだ。実は友達ともよく行くコンビニだから、友達も見たことある人だ。たぶん大学生。
好きになったと気づいたのは、お婆さんの落とした小銭を一緒に拾ってあげていたから。あ、この人優しい人だって思ったら、いっきに好きになっていた。こんな理由て好きになったとは友達は言えないのもある。
昨日もコンビニへ。そして今日もコンビニでアイスを買う。部活帰りのアイスも楽しみの1つだか、あの店員さんのレジに並べるかドキドキするのも楽しみだ。
「どうぞ〜」
やった!今日もあの店員さんのレジだ。電子マネーで払いながら、少しずつ顔を上げ、店員のお顔を見ようとする。目線を上げるといつも首にフェザーペンダントが揺れて見える。
「ありがとうござました」
もう支払いは終わり?今日は顔が見えなかったし、次はお金で払えば少しは時間が稼げるだろうか。
そんな片思いの時期が2週間くらい過ぎた。いつものレジに並ぶとカウンターの向こうから声をかけられた。
「お前さぁ。俺のこと好きだろ。分かりやすいよなぁ。デートしてやってもいいよ」
ウソだろ。あの店員さんなのか。
ガバっと勢い良く顔を上げるとそこには、フェザーペンダントをした私の好きだった店員がニヤニヤして立っていた。
恋するのも一瞬だったけど、冷めるのも一瞬た。
「イヤ。行きません。好きでもないんで」
目の前の店員はポカンとしていたが、すぐにムスッとしてお釣りを渡してきた。
なんだあれ。なんであんなに上からなの。友達に言わなくて良かったよ。
あんなのどこが良かったのか自分でもさっぱり分からない。
部活帰りに行くコンビニ変えよ。
あのペンダントもこっそり同じものを買いたいなあと思ってたけど、辞めよ。アホらしい。やめ。やめ。なんかムカつく。
やっぱり恋に恋してただけか。
なんかムカつく。
10/25/2025, 7:39:43 PM