大好きな本だった
その本が完結するまでは死ねないって、それで死なないでいられた
その本がどんな未来に進んでも、全てが愛おしくてその本と向き合っている間だけ、私は幸せという物を噛み締めていた
でもある日、その本を手放した
裸足で踏むパラペットは冷たくて驚いた
下を見たら怖くて死ねなくなるから、前だけ見て足を外す、まさにその瞬間
背後に強く引っ張られて、尻餅をついた
「まだ、終わってないんだけど?」
そこには、会うのは初めてだけど、自分のこと以上に知っている少女が私を見下ろしていた
「ねぇ、私を生み出した責任とってから死んでよ......」
「うん......そうだね、全て終わらせたら一緒に死のう」
僕は再び筆を取った
タイトル「私の本」
6/15/2024, 6:12:10 PM