古びたヌックに腰掛けて
窓辺に訪う小さな客人と挨拶を
そして古びた額縁から世界を開く
かつて君が泣いていた
残響だけが横たわる
白を纏う本当の意味を、誰も知ろうとしなかった頃
穴だらけの揶揄、腐った因果
罪の滴る衣は既に染まる境界を失って
星に落ちた影は輝きを増して
いつか君を呑み込んだ
どれほど重ねても恩讐は翻らず
黒百合は笑むことを忘れていた
咲き終えた花のように
ひとつ、またひとつ
捲れて、剥がれて、落ちて行くのに
君は悉くを律儀に掬い上げて
月隠の雨に封じて泣いた
竜虎を弔い、蛇蝎を悼む
心臓を引き摺り歩き、それでも明日を見せる為に
何も燃え尽きることなかったろうに
君のいない小さな城
今日も曇天、揺れる傘のシンボル
手放したもの全て、掻き集めて待っている
いつまでも、夢のような陽だまりの中で待っている
(元気かな)
4/9/2025, 10:55:38 AM