すずめ

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何でも疑って複雑に考えてしまう私のひねくれた性格がたまに嫌になる。そしてそれを隠して何も考えていないように装ってしまう。

心が動くことはあるけれど、もっとたくさん純粋に感動したり、驚いたり、喜んだりしたい。それなのに、どこか遠くから物事を見つめている自分がいる。

なにか綺麗なものを目にした時、その綺麗さだけに集中したい。過去や未来のことをその瞬間だけは忘れていたい。

いつまでこの美しさを覚えていられるだろうか。昔ならどう感じただろうか。きっとあの頃の感じ方からは変わってしまっただろう。そんなふうに思考が邪魔をして、純粋な感動を自分で台無しにしてしまう。体はたしかに今を生きているはずなのに心は今を生きていない。過去や未来に囚われている。

対照的に、私の友人は今を生きているように見える。
楽しい時、嬉しい時、すぐに口に出して知らせてくれる。怒っている時にその不満を聞くと、今何を思っているか少し口が悪いけれど教えてくれる。しかしその分、とても素直だと思う。私なら周りの目を気にして、自分の負の部分は隠したいと思ってしまうから。純粋なその瞬間の感情。それを隠すこともなく、私に見せてくれる。

ある時、その人が私を褒めてくれた。自分の話を飽きずに聞いてくれて、いつも物事を慎重に考えていて、きっと自分には想像もつかない事まで考えているでしょう、と。そんなところが好きだと。その言葉を受け取って、凄く嬉しかった。自然と笑顔になった。好きじゃなかったはずの自分の性格が少し好きになれた。
ここでふと不思議に思った。私は何でもひねくれて捉えるんじゃなかっただろうか。褒められてこんなに喜ぶくらい単純だったんだ。私の単純な部分に気がつけてさらに嬉しかった。この感情は過去にも未来にもない、今この瞬間だけのものなんだとはっきり分かった。



”好きじゃないのに”

3/25/2024, 1:42:26 PM