「サンマの頭、食べないのか?」
「うん」
「なんで?」
「なんでって……気持ち悪いから」
「お前なぁ、命を頂くってそういうことだろ」
「意味わかんない」
「魚を食べるっていうのは、命を食べることなんだよ」
「なにそれ? こんなところで説教?」
「説教じゃねぇよ。当然のことだろ。食育とかなかったのかよ」
「うっざ」
「は?」
「なんでここでそういうこというかな? ていうか、ご飯おいしくなくなるんですけど?」
「それはお前がサンマの頭を――って、内蔵も残してるじゃねぇかおい!」
「うるさい。いちいち大きい声出さないで」
「ほんと、育ちが悪いなお前は」
「は? なんでそんなこと言われなきゃならないわけ?」
「それはサンマの食いかたが汚いからだろ!」
「じゃーもういいです。これ、あげる。頭も内蔵も残さず食べればいいじゃない。はい。これ」
「……」
「……」
「ぷっ、あっはははは」
「うるせぇな……なんだよ?」
「だって食べ方! サンマとキスしてるみたいだったよ! 頭を正面からこう食べてて……ほんと、ウケる」
「おまえ、最低だな」
「は? なにいってんの? 最低なのはおまえだろ? さっきからワケわかんないこと押し付けてきて」
「……ごちそうさん」
「え? なに? 怒ってる? てゆーか、残してんじゃん」
「サンマの頭、苦くてほんとは嫌いなんだよ」
2/11/2026, 11:34:19 AM